美育文化ポケット 第47号 発刊しました。
第47号 2025 AUTUMN

目次 contents
1 「わくわく」しよう! 大下正悟
2 pocket meeting in kyoto
150年ぶりに変わり始めた!日本の教育
アートがひらく
学びの世界
苫野一徳さん
(哲学者・教育学者)
10 カリキュラム・デザイン35
特集 秋にふかまる
クリエーション
槇 英子+馬場千晶+秋山道広
18 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ
19 自分の中の「こども」を取り戻す研修レシピ
20 biiku-navi report 美育NAVI訪問レポート40
「不確実」と「不同意」を許容し
日々生まれ続ける
野中こども園の「今」
野中こども園(静岡県)
ナビゲーター:槇 英子
27 art in life
僕がみつけた、アートに現れる娘の世界⑪
鳥の巣あそび 鈴木 純
28 連載 Arts in LIFE アトリエリスタは語る③
石の音を聴く磯部錦司
30 連載 アート in SPACE㉑
はじまりの美術館(福島県)渡邉裕樹
32 連載 0・1・2歳児と名づけようのない遊び③
手で見つけるオノマトペ
高橋麻衣 和泉 誠
34 practice
実践ポケット【保育園】
こどもの視線と、こどもを見る視線
三浦 諒
36 【こども園】
小さな一歩から見えたこと
──造形活動の見直しと挑戦の途中経過
武藤結季
38 【小学校】
自由の実感が生み出す
こどもが自己実現を楽しむ図工
橋田朋憲
40 before art
連載 美術に出会う前の美術⑥
繰り返しの構造 岩崎 清
41 beautiful and pleasant things for children and us
連載 うつくしいこと たのしいこと⑮
「あつめること」佐藤賢司
42 drawing&painting こどもの絵を聴く
42 【幼児の部】香林七奈
43 【小学生の部】 橋本正裕
44 Q&A 連載 こどもが育つ造形Q&A
花原幹夫+北川智久
裏表紙連載 いーことかんがえた!③
「どんなリースができるかな?」
こやまこいこ
pocket meeting in Kyoto
150年ぶりに変わり始めた!日本の教育
アートがひらく 学びの世界
ポケットミーティング in 京都2025.7.5 at 龍谷大学
会場もオンラインも大盛況!
この夏のポケットミーティングは、最近気になるワード、「哲学と教育」に日々現場で向き合う、苫野一徳先生の登場です。
とまの いっとく
哲学者、教育学者。早稲田大学大学院教育学研究科博士課程修了。
教育学博士。熊本大学大学院教育学研究科准教授。
早稲田大学教育総合科学学術院助手、日本学術振興会特別研究員を歴任し、現職。
一般社団法人School Transformation Networking理事。
経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員ほか多くの自治体・学校等のアドバイザー。
オンラインサロン「苫野一徳オンラインゼミ」主催。著書/『教育の力』(講談社現代新書)、『親子で哲学対話』(大和書房)、「はじめての哲学的思考」(ちくまプリマー新書)、『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ)、『「学校」をつくり直す』(河出書房新社)など多数。
哲学とはさまざまなものごとの“本質”をつかむための、考え方の営み。
哲学は、実はものすごく問題解決に役立つ
初めに自己紹介しますと、私は哲学者であり教育学者でもあります。そもそも哲学とは何かというと、「本質を考え抜くことでそれにまつわる問題を解く学問である」と、私はいつもお答えしています。
例えば、教育やよい授業について話し合おうとしても、こども観が違う、学校観が違う、授業観が違うなどで、なかなか話がまとまらないことはありませんか? そこで哲学の考え方の手法(※本質観取)を使って、「教育とは何か」「よい授業とは何か」を徹底的に考え抜いてその〝本質〞をつかみ、みんなでそれを理解し合えれば(※共通理解)、何がよい教育か、そのためにどんな授業が望ましいかが見えてきます。逆にいうと、「教育とは」「よい授業とは」の本質がわからなければ、何をどう考えたらよいのかわからず、道に迷ってしまいます。
哲学はこうしたものごとの〝本質〞を捉える考え方を2500年にわたって蓄積してきました。「哲学って、何だか難しくてよくわからない」というイメージがあるかと思いますが、実はものすごく役に立つものなのです。一番深いところから教育を考えるーー。これが、私が哲学者として、また、教育学者としてみなさんとやっていきたい仕事です。
人類の精神の大革命は民主主義の発明だった
哲学のお話をもう少し続けましょう。実は、人類の長い歴史の中で、この200〜300年間に戦争というものが急激に減少してきました。この戦争の激減に、哲学は大きく貢献しているのです。
今の国際情勢からすると、信じられないかもしれません。21世紀はテロで幕が開き、20世紀には2つの世界大戦があった。そして今もなお、各地で紛争が起きている。しかし、考えてみたら、人間はずっと争い続けてきたのです。歴史の教科書を見たら一目瞭然です。ついこの間まで、人種や宗教が違えば、力によって相手を征服し、敗北者は奴隷にして当然だと人々は思っていましたし、残酷な処刑など、目を覆
いたくなるようなものもいっぱいありました。
ところが今、私たちはそれらをおぞましいと感じるようになりました。そう思うようになれたのは、最近の話なのです。われわれは、いってみれば「精神の大革命」を200〜300年かけて起こしてきたのです。戦争だけでなく、私たちは他人を傷つけるものでなければ自由な人生を選択できること、自他の自由を尊重することの大切さなど、新しい考え方を獲得してきました。つまり数百年前の人々と私たちとは、もはや別の生き物になったといってよいくらい、精神が変化しているのですね。
そんなことが起きる大きなきっかけとなったのが、哲学者たちによる民主主義の発明です。多くの哲学者たちの思考のリレーによって生み出された、人類の英知の中の英知と呼べるでしょう。
「本質がわからなければ、何をどう考えてよいかわからず、道に迷ってしまいます。」
…続きは本誌で
秋にふかまる Creation クリエーション
AUTUMN 2025
curriculum design
カリキュラム・デザイン㉟
カリキュラムのデザインは、過去から未来を見通す大人の思いと今をつくり続けるこどもたちの思いが編まれていくものです。こども自身の育ちたい衝動に応じ、明日をつくる力になっているかを振り返り、更新し続けることが大切です。「こうしたい」と「こうしたら」の循環から生まれる「これから」のアートカリキュラムを一緒にデザインしていきましょう。
こどもたちは、生まれてから絶えずモノと出会い続け、見て触れて聴いて感じて我がモノにしています。幼いほど言葉ではなく、全身で「こんなモノ」「こうするモノ」として取り込み、言葉で枠づけをしないからこそ「こうできるモノ」「こうなるモノ」として、自分をしるす手がかりにするのでしょう。
モノについて語れるようになっても、楽しみ見つけの名人であるこどもたちは、モノの新たな可能性をキャッチして、そもそもの役割という重荷を見事にといて見せてくれます。捨てられても仕方がないような段ボール片から、立たせるという課題解決や動物という表現が生まれ、体育館倉庫に眠る運動用具も、思いやイメージを表す構成材となります。
こうした造形活動は、現状からなんとかする「ブリコラージュ」。行為の背後には、無数のひらめきのネットワークが走り、モノとモノだけでなく人と人をつなぎます。そんな「生きる力」につながるカリキュラムを、身近な環境から探してみましょう。
──「ブリコラージュ」の意味については、45号P19で詳しく解説しています。
槇 英子+馬場千晶+秋山道広
TEXT BY MAKI HIDEKO/淑徳大学 教授(10-11),
BABA CHIAKI/昭和学院短期大学 准教授(P12-13,16,18),
AKIYAMA MICHIHIRO/芦屋市立打出浜小学校 教諭(P14-15,17-18)
カリキュラム・デザインの手がかりとして、表現の起点を 材料・環境から、 イメージ・思いから、 テーマや目的からの3つに分け、育む資質や興味関心への配慮をしやすくしました。アイコンの色で、平面(ピンク)・立体(青)・混合(緑)を示し、主なねらいについては、 発想(感性)、 工夫(創造性)、 かかわりの3つの記号で示しました。
…続きは本誌で







