美育文化ポケット 第40号 発刊しました。

第40号 2023 Winter

目次 contents


1 アートの力 高橋智和

2 special feature 40号特別企画
ポケット的クレヨン考

26 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ
カリキュラム・デザイン28
特集アート×
society 18
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

27 art in life
そのまなざしの向こうに……
大橋 功

28 連載 Nature Arts in LIFE⑫
笑顔の家 磯部錦司

30 連載 アート in SPACE⑮
狛江第六小学校(東京都) 渡邉裕樹

32 連載 こどもなーとのアトリエリスタだより④
アートが日常になるってどういうこと? 
逸見有沙 服部未来 和泉 誠   

34 practice 実践ポケット【保育園】
砂の魅力にとりつかれ! 森 陽子

36【こども園】
粘土との対話から広がる世界
石本眞由美

38【 小学校】
カラージェルあそび
~めざせ! カラージェルマスター~
阿部ちひろ

40 exploration in to the art of infants
連載 幼児造形の森㉔
嗅覚教具(その2) 嗅覚の表現 水島尚喜

41 beautiful and pleasant things for children and us
連載 うつくしいこと たのしいこと⑧
「“そめる”こと」(その1) 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く

42 【幼児の部】宮里暁美 43 【小学生の部】 大塚智大

44 Q&A 連載 こどもが育つ造形Q&A
伊藤美輝+名達英詔

裏表紙 僕がみつけた、アートに現れる娘の世界④
「はじめての絵本」 鈴木 純

40号特別企画 ポケット的 クレヨン考

大橋 功+槇 英子+馬場千晶+秋山道広


クレヨンについて考えると、見えてくること

槇 英子

ある園に実習に行っていた学生が、最終日にこどもたちからプレゼントをもらったと報告してくれました。全員が学生の顔を描いてくれたとのこと。思わず「それはうれしかったでしょう!」と伝えたら、「はい。でも……」とちょっぴり顔が曇りました。「みんな同じペールオレンジの肌の色に真っ黒な髪色で、どうしてなんだろうと思ってしまったんです」うれしいのに喜べなかった学生の戸惑い。みなさんはどう感じますか。こんな場面が生まれた要因は、どこにあるのでしょう。
はじめは色そのものだったクレヨンに、いつしか用途や役割が張りついていませんか。一緒に遊ぶ友達ではなくなって、色づけ用具になってしまったクレヨンセットは、引き出しの中でさびしい思いをしているかもしれません。クレヨンセットにはこどもたちを表現に誘いざなう無限のアフォーダンスが潜んでいます。1 本1 本が特別なのはもちろん、その間にはまだ出会っていない無数の色があり、隣り合い、重なり合うことで、心躍る色の揺らぎが生まれます。当たり前を見直すことで、もしかしたらこどもたちとクレヨンの新しい関係が生まれるかもしれない。そんな明日への期待をこめて、クレヨンと向き合ってみました。クレヨン工場で感じた熱量が、この特別企画を通してこどもたちに届きますように、と心から願っています。

…続きは本誌で

カリキュラム・デザイン28

槇 英子+馬場千晶+秋山道広

カリキュラムのデザインは、過去から未来を見通す大人の思いと、今をつくり続けるこどもたちの思いが編まれていくものです。カリキュラムテーマには、こどもたちが自分らしく今を生き、明日の自分と社会をつくり出す力となるようなアート体験を重ねてほしいという願いがこめられています。
心をひらき、自ら育つ力を励ますカリキュラムを一緒にデザインしていきましょう。

アート×society ソサエティ

今回のテーマは「アート×society」。「わたし」はいつも、どこかの「わたし」。いつのまにか「わたしたち」。こどもたちは、生まれたときからつながりの編み目の中にいます。だから、心の中では、だれもがどこかとつながっていたい。そして、つながりに守られながら、新たな編み目を増やしたい。簡単ではないけれど。そんなこどもたちのためにできることは、「さあ、手をつなぎましょう」ということでしょうか。
「おもしろそう」と手を伸ばしたら、つながる手があるように、「おもしろいな」が「おもしろいね」になるように、「おもしろかった」が「おもしろそう」につながるように、それができるのがアートのカリキュラム。「力を合わせて」なんて言わなくたって、おもしろさが連鎖して、こども・おとなを超えて、まちとだってつながれる。新しい社会をつくっていくこどもたちにとって、つながりに参加すること、新しいつながりを生み出すこと、それが学び。共有できる素材や場、展開できる時間をたっぷり用意して、つながりの編み目が広がるようなカリキュラムをデザインしてみましょう。

…続きは本誌で


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