美育文化ポケット 第38号 発刊しました。

第38号 2023 Summer

目次


SUMMER 2023
美育文化ポケット 第38 号  
2023 Summer 目次
contents
1 大切なのは、心をひらく場をつくること
手嶋州平

2 pocket interview
島田 拓さん
(アリ観察家・写真家)

10 curriculum design
カリキュラム・デザイン26
特集
アート×scienceサイエンス
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

19 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

20 biiku-navi report
美育NAVI訪問レポート33
見ると心が動き出す
立会小学校の展覧会へようこそ!
品川区立立会小学校(東京都)
ナビゲーター:秋山道広 槇 英子 馬場千晶

27 art in life
赤いスコップがあったから 槇 英子

28 連載 Nature Arts in LIFE⑩
虫とこどもがキラキラと輝く 磯部錦司

30 連載 アート in SPACE⑬
鶴見大学短期大学部附属三松幼稚園(神奈川県)
渡邉裕樹

32 連載 こどもなーとのアトリエリスタだより②
アトリエリスタとして大切にしていることは?
三河内智絵 萩原祥子 野口真利名 

34 practice 実践ポケット【こども園】
いろいろ イロイロ 色々 田中満秋子

36 【こども園】
まる・○・マル 丸シールから生まれたもの 松本真帆

38 【小学校】
わたしのおすすめ 清水将大

40 exploration in to the art of infants
連載 幼児造形の森㉒
触覚教具(その6) 触覚的な世界との関わり合い 水島尚喜

41 beautiful and pleasant things for children and us
連載 うつくしいこと たのしいこと⑥
「“まく”こと」 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く

42 【幼児の部】矢野 真 43 【小学生の部】 河野愉平

44 Q&A 連載 こどもが育つ造形Q&A
槇 英子+大橋 功
裏表紙 僕がみつけた、アートに現れる娘の世界②
「こうすると、バラが描けるよ」 鈴木 純

 

pocket interview
島田 拓さん

しまだ たく/アリ観察家・写真家

1981年生まれ。東京都出身。幼いときから生き物が大好きで、幼稚園児の頃、家でアゲハチョウの幼虫を育て羽化する姿に感激。さまざまな昆虫や生き物を飼育してきた。現在もアリをはじめ昆虫、爬虫類、小鳥など多数の生き物を家族と共に飼育中。上野動物園やペットショップなどの勤務を経て、2001年、アリのペットショップ「AntRoom」をオープン。アリの飼育キットの販売や講演を通じてアリの生態やかわいらしさを伝えている。「情熱大陸」「月曜から夜ふかし」などさまざまなテレビ番組にも出演。アリの気持ちまで伝わってくるような撮影写真も高い評価を得ている。
●「AntRoom」https://antroom.cart.fc2.com/ ツイッター:@AntRoom_taku
著書:『 アリのけっこんひこう』『アリのかぞく』(以上かがくのとも 福音館書館)『ぜんぶわかる! アリ』『アリとくらすむし』(以上ポプラ社)『アリの巣のお客さん』『アリのくらしに大接近』(以上あかね書房)『ふしぎの国のアリのすハウス』(学研プラス)


“見えない世界”を想像させる存在として、アリと出会ってほしい。

アリはこどもたちにとって、もっとも身近な生物のひとつです。園庭や公園で喜々として追う姿に、命あるものへの関心を育む保育につなげたいと願う保育者は少なくないでしょう。ところが、採集してきても飼育方法もわからない……というのが実情ではないでしょうか。そこで、アリに詳しい島田さんに話を聞いてみることにしました。
ところで、当初「アリ観察家」という肩書が理解できませんでした。しかし会ってまもなく納得。インタビューは、「この公園では45種類のアリを見つけました」という驚きの言葉から始まりました。● 聞き手 槇 英子(淑徳大学 教授)

アリは棲める空間があれば、土や砂がなくても快適に暮らしていけます。

槇 島田さんのアリの巣キット(※「蟻マシーン」AntRoom)が大人気ですね。
島田 はい、石膏を使って手作りしているので生産が追いついていなくて。アリって、「まっすぐ下に掘ってから横に掘
る」みたいに簡単な巣を作るアリもいれば、迷路みたいに細かく入り組んだ巣を作るアリもいるなど、種類によっていろいろな巣の形がありますが、「蟻マシーン」は多くのアリたちが好む形にしてあります。
槇 アリって土を掘るのが本能だと思っていました。土でなくても、そして掘らなくても暮らしていけるのですね。
島田 ちゃんと棲める空間があれば、土や砂に穴を掘らなくても快適に暮らしていけます。
槇 模型の上の部屋に、葉っぱが置いてありますね?(左写真)
島田 上の部屋は巣の外の自然界を再現しています。葉の上にエサを置くと、働きアリたちが取りに来て巣の中に運んでいくのですよ。アリは不要なものはゴミとして全部巣の外に運び出す習性があって、巣の中で死んだアリも食べ終わったゴミも、みんな外に運び出します。トイレの場所もちゃんと決まっていて、清潔好きなんですよね。巣の中は全部アリ任せにしています。

6~7年かけて、働きアリが数千匹に増えてから、新女王を育て始めます。

島田 アリの巣には、たくさんの数のアリが一緒に棲んでいますが、あの子たちはみんなたった1匹の女王アリが産んだ娘たちです。アリは自分の家族とだけしか、一緒に棲みません。

…続きは本誌で


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