美育文化ポケット 第33号 発刊しました【在庫なし】

第33号 2022 Spring

目次


1 「絶対に嘘にならないほめ方」を片手に
ピカソプロジェクト流、こどもとの関り方 奥村みずほ

2 pocket meeting in tokyo
表現(アート)は どうして大切なのか
─ぐうたら村の試みを通して考える─
汐見稔幸さん(教育学者・保育学者)

curriculum design
カリキュラム・デザイン㉑
特集いつでもカラフル 色を感じて 10
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

18 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

20 biiku-navi report
美育NAVI訪問レポート㉙
学びを止めない
―かいけ心正こども園のオンライン研修―
かいけ心正こども園(鳥取県)
ナビゲーター:大橋 功

27 art in life 「 お花の発見」 鈴木純

28 連載 Nature Arts in LIFE⑤
樹を描く 磯部錦司

30 連載 アート in SPACE⑧
フレーベル西が丘みらい園 (東京都)
渡邉裕樹

32 連載 こどもなーとの0・1・2歳の素材と遊び①
「テープ」 坂口奈津 松井七海

34 practice 実践ポケット【幼稚園】
絵が、A君が、笑っている 鳥海利織

36 【幼稚園】
さくらさんものがたり
一人ひとりが輝くために 井口恵美

38 【小学校】
ポケットに未来を 髙橋史樹

40 exploration in to the art of infants
連載 幼児造形の森⑰
触覚教具(その1)「 温覚板」 水島尚喜

41 beautiful and pleasant things for children and us
連載 うつくしいこと たのしいこと①
「あむこと」 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く

42【 幼児の部】 松岡宏明 43【 小学生の部】 鈴木光男

44 Q&A
連載 こどもが育つ造形Q&A
森田ゆかり+名達英詔

 

pocket meeting in tokyo
表現(アート)は どうして大切なのか
─ぐうたら村の試みを通して考える─

 

汐見稔幸さん(教育学者・保育学者)

 

今年もオンライン開催となったポケットミーティング。昨年の講演時から再登壇のリクエストが相次いだ汐見稔幸さんが、自ら村長を務める「ぐうたら村」の活動から「表現すること」のルーツを語ります。

 

美を求めた唯一の生き物が、人間。
人は表現することで世界と関わっていく。

 

ぐうたら村のルールはただひとつ。
「人のぐうたらのじゃまをしないこと」

 私たちが作っている「ぐうたら村」は、持続可能な社会と幼児教育とを結んで考える、ある種のエコカレッジです。場所は山梨県の八ヶ岳南麓、私たちはここで「人間が暮らすこと」の原点に還って学ぼうとしています。

 生きるためにはまず食べなければならない。人はどのように食べ物を手に入れてきたのだろうかと考え、人工肥料も農薬も使わない「自然農」という農業を行っています。そうしたぐうたら村の畑の風景は、とっても美しいんですよ。

 人間の中には、穏やかな美しさを求める気持ちがあると私は思っています。人間が上手に自然と会話しながら作ってきたもの、それが美の原点ではないでしょうか。

 ぐうたら村の考え方は「エコロジー」です。あらゆる存在が支えあって生きていく共生の思想を具現化しています。現在の地球の環境問題や深刻な貧困問題は、「人間は強くなきゃいけない」という20世紀の社会の人間
観がもたらしたのではないでしょうか。人間はもともと弱い存在。弱いから、結びつきあう。20世紀型のマインドセットを1回突き放し、みんなが上手に共生しあう21世紀の社会を作るために、じーっくりと体験を通して学びあう場にしたいのです。

 ぐうたら村のルールはただひとつ。「人のぐうたらのじゃまをしない」ということです。好きなときに働いて、好きなときに休む。みんなで炊いたご飯を食べたり、夜、焚火を囲みながらさまざまな思いを語りあったり……。自然と自分が一体になったときに生まれる言葉は、都会で時間に追われながら語る言葉とは違う発想になるのですね。

 人間の中にある自然性に目を向け直し、その自然性をどう活性化していくか――。それが21世紀のマインドセットの一番のかなめではないかと考え、ぐうたら村の活動はゆるやかに続けられています。そのような試みのなかで、今日は人間にとってなぜ表現が必要かということを考えていきたいと思います。

…続きは本誌で

「ぐうたら村とは?」
ぐうたら村は富士山、八ヶ岳、南アルプスの山々に囲まれた、緑豊かな1,900平米の村です。2009年、汐見稔幸村長と小西貴士管理人が耕作放棄地だったこの場所で、エコカレッジを作り始めました。
保育に携わる人々を中心に多彩なメンバーが集い、自然農法の畑や間伐材など地元の素材のみで建てた研修棟、焚火を囲んでゆっくりおしゃべりができるファイヤープレイスなど、楽しい集いの場を作り上げてきました。
現在はぐうたら村からオンライン講座も発信中です。 https://gutara-v.net/

…続きは本誌で


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