美育文化ポケット 第31号 発刊しました。

第31号 2021 Autumn

目次


1 傍観者から当事者へ 永野むつみ

2 pocket meeting in Kyoto
ポケットミーティングin京都
コミュニケーション教育から考える
新しい学びの形
平田オリザさん
(劇作家・芸術文化観光専門職大学 学長)

curriculum design
カリキュラム・デザイン⑲
特集生活素材と
リサイクル素材
つくる・うごく 8
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

16 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

18 biiku-navi report
美育NAVI訪問レポート㉘
こどもの声に耳を澄ませる
「夢を叶える保育」の原点
RISSHO KID’Sきらり
ナビゲーター:渡邉裕樹

27 art in life
0・1・2歳の見ている世界 

28 連載 Nature Arts in LIFE③
枯葉とうたう 磯部錦司

30 連載 アート in SPACE⑦
あんず幼稚園(埼玉県) 渡邉裕樹

32 連載 さくらぐみドキュメンテーション秋
「“本気”が止まらない! めざせ駅伝大会」
甲田美香

34 practice 実践ポケット【保育園】
たべるとつながる つくるということ
山口由紀子

36 【小学校】
ペタペタ お花紙 河野愉平

38 【保育者養成校】
ICTを活用した簡単で楽しい映像作品
山田修平

40 exploration in to the art of infants
連載 幼児造形の森⑮
視覚教具「円柱さし」 水島尚喜

41 word for children, word for art
連載 こどものための、アートのための言葉⑮
「あらわす」 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く

42【 幼児の部】 鮫島良一

43 【小学生の部】 奥村高明

44 Q&A
連載 こどもが育つ造形Q&A
花原幹夫+北川智久

 

pocket meeting 平田オリザさん

ひらた おりざ/劇作家・芸術文化観光専門職大学 学長

コミュニケーション教育から考える新しい学びの形

演劇というフィクションの力が、コミュニケーション教育に広がりをもたらすのです。

せりふとは、次の人へ、またその次の人へと言葉のバトンをつないでいくもの

 私は日本だけでなく海外でも演劇を創ってきたのですが、他国に比べ、日本の教育が演劇を大切にしてこなかったことがずっと気にかかっていました。教科書に載っている戯曲は古すぎたり、「指導に時間がかかるから」と先生たちに敬遠されたりしてきたのです。

 そもそも日本の授業はクリエイティブなものがほとんどありません。音楽の授業は「歌う・演奏する」はあっても、作曲の授業はほとんどなく、国語では作文や俳句でさえも「自分の気持ちを書きなさい、本当のことを書きなさい」と先生に言われてしまう。つまり、創作=フィクションの授業はほとんどないのです。その点、演劇は、フィクションそのものです。

 そこで私は、想像の楽しさが体感できる戯曲の教材「対話劇を体験しよう」を作り(2002年に教科書に採択)、実際に中学校に出向いてコミュニケーション教育の授業を行ってきました。授業の最初に、 「この物語はフィクションです。だからせりふは、ホントのことじゃなくていい。むしろ、うまく噓をついた子がほめられます」と言うと、それまで下を向いていたこどもたちも、顔を上げてこちらを向きます。

 この劇は、朝、登校してきた生徒たちが教室でおしゃべりしている場面から始まります。生徒たちには班に分かれて一度教科書通りに演じてもらい、その後にせりふを自分たちで作り替えてもらいます。
 演劇は、何があっても時間になれば幕を上げなければなりません。ですから、生徒たちは自分とは違う意見にも耳を傾け、みんなで合意形成しながら、〈自分たちの劇〉をめざしてどんどん進めていきます。

…続きは本誌で


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