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第21号 2019 Spring

表紙

感性を育てるこどもの歌
一般社団法人日本童謡協会常任理事/作曲家/東洋英和女学院大学名誉教授 早川史郎

 幼かった頃、私たちはいったいどんなことをして、どんな物を見て、どんな音楽を聞いて育ったのであろうか……。それは脈絡のない小さな記憶の断片としてしか甦ってこない。幼児期に過ごした日々の経験は、その人の一生を左右するとさえいわれているが、私たちにその実感もなく、また確証もない。

 「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」(ロパート・フルガム著)の言葉に心が動く。幼稚園でこどもたちが自由にのびのびと絵を描いている姿を見かける。こどもの歌に関わっている私にとって、これは実にうらやましい光景である。音楽は規範性が強く、しかも太い伝達の系に支えられており、時として自由でのびのびとした姿から遠ざかることがある。

 こどもが歌を覚えるときは、まず保育者の歌の伝達から始まり、それがこどもの興味や関心を刺激して、覚えて歌いたいという欲求が生まれ、表現へと進んでいく。保育者が選択する歌は、短く、優しく、美しく、楽しく、音楽性に冨んでいなければならない。その歌はこどもを理解し、こどもの生活を見つめ豊かな感性の萌芽を願う大人たちからの贈り物であるのだから。

 こんな歌がある。「おかあさん」(田中ナナ作詞/中田喜直作曲)は、母の存在を「におい」という感性で表現している。「かぜさんだって」(芝山かおる・サトウハチロー作詞/中田喜直作曲)は、風の存在を視党や聴覚や皮膚で捉えて優しく伝えている。「おはようクレヨン」(谷山浩子作詞作曲)は、箱の中で眠っていたクレヨンが一本ずつ起きて、赤いトマト・オレンジマーマレード・黄色いバターと茶色のトーストになってこどもの食卓を飾る色の感性の歌。「キリンさん」(まど・みちお作詞/服部公ー作曲)は、「キリンさんは首が長くて寒いでしょう。お空の雲を借りてマフラーにしたら...…」という優しい思いやりの歌。

 日本ほど、こどもの歌をたくさんもっている国はない。幼かった頃に歌ったすばらしい歌と、それにつながるさまざまな記憶は大きな感性の広がりとなって、私たちを豊かにしてくれるはずだ。

 

教育評論家/法政大学特任教授/臨床教育研究所「虹」所長
尾木直樹さん
pocket interview

さえきゆたか/認知心理学者
佐伯胖さん

ポケットミーティングin東京 「学びの原点としてのアート」
認知科学からのアプローチで「学びとは何か」「わかるとは何か」など、 人間にとって根源的なテーマの研究を続けている佐伯眸さん。
2018年 12月、 「ポケットミーティング」の講演を誌上掲載します。

…続きは本誌で

目次

1 感性を育てるこどもの歌 早川史郎

2 pocket interview
佐伯胖さん 認知心理学者

10 curriculum design
カリキュラムデザイン⑨
特集 つないでニョロニョロ
槇英子+馬場千晶+秋山道広

18 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

20 biiku-navi report
美育NAVI訪問レポート⑳
「くすのき団地」の日々を紡ぐ
桃陵保育園 京都府京都市
ナビゲーター:羽渓了

27 art in life
  28 連載0·1·2歳からはじまる造形①
  春に気づく磯部錦司
  30 連載図エ室訪問①
  昭島市立つつじが丘小学校 渡邊裕樹
  32 連載アート in WORLD 海外の美術教育事情①
  カンボジア鈴木光男

34 practice

34 実践ポケット【保育園】
発見からのアート
探検から広がる自分だけの世界 黒崎夕奈

36  実践ポケット【幼稚園】
ひらめきをカタチにしていく 深田美智子

38  実践ポケット【小学校】
つながれ!空気のかけ橋 大櫃重剛

40 exploration in to the art of infants 連載幼児造形の森⑤
紙を折る フレーベル第13恩物と第 18恩物
水島尚喜

41 word for children word for art
連載こどものための、 アー トのための言葉⑤
「個性」佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く
  42 【幼児の部】清田哲男
  43【小学生の部】岡照幸

44 Q&A
連載 こどもが育つ造形Q&A
大橋功+西村德行




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