
美術に出会う前の美術
岩崎 清/日本ブルーノ・ムナーリ研究会 代表
ブルーノ・ムナーリ/芸術家・デザイナー・教育者
(Bruno Munari 1907-1998)
ムナーリが自然から見いだした繰り返しのアート
-美育文化ポケット47号 番外編-
アコナ・ビコンビ

▲『アコナ・ビコンビ』(1965)
このオブジェは、円形と正三角形の繰り返しでできている作品です。自然の中に見いだされる丸い形と、人間の理知の産物である正三角形を組み合わせ、分子構造のようにできあがっているオブジェです。これは、ムナーリの自然に対する深い洞察と探究によって、繰り返しの形が視覚化されている作品だといえるでしょう。ミラノの「20世紀美術館」には、人体サイズより大きな作品が展示されています。
くりかえしの構成

▲『くりかえしの構成』(1967)
アコナ・ビコンビと同じく、繰り返しの構造のオブジェです。繰り返しの構造とは、一言でいえば、モデュール、つまり一つのユニットが何度も繰り返される仕組みのことです。この作品も、自然から発想を得て生まれたオブジェです。L字型に折り曲げられ、角のところに切り込みを入れられた要素を組み合わせています。
このオブジェは、上下もなく、そして前後もありません。しかし厳然とそれは存在しています。同じ形のユニットを、つなぎ方を変えて組み合わせることで、さまざまな形の空間が生まれます。決まった形があるわけではなく、組み合わせる人によって変化が楽しめる作品なのです。なお、このオブジェには木製の展示用の台座がついています。T字型の切れ込みかあり、L字のユニットを展示しないときは、収納できるようになっています。

▲『くりかえしの構成』収納の台1967
写真提供/日本ブルーノ・ムナーリ研究会
1回目 自然体験からアートへの第一歩 -美育文化ポケット42号 番外編- はこちら
2回目 遊具―遊びながら造形的な感性を培う誘発的道具 -美育文化ポケット43号 番外編- はこちら
3回目 ムナーリのワークショップとは? -美育文化ポケット44号 番外編- はこちら
