美育文化ポケット 第36号 発刊しました。

第36号 2022 Winter

目次


2022 Winter 目次

1 ピアノの鍵盤は、パレットの上の88の色
角 聖子

2 pocket interview
長谷川義史さん(絵本作家、翻訳家)

curriculum design カリキュラム・デザイン㉔
特集ようこそデジタル
扉を開いて 10
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

18 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

20 biiku-navi report 美育NAVI訪問レポート㉛
他者を思う・自分を知る
中野五中の美術の時間
中野区立第五中学校(東京都)
ナビゲーター:大橋 功

27 art in life
「直線とジグザグと丸と塗りつぶし」 鈴木 純

28 連載 Nature Arts in LIFE⑧
レッジョ・エミリア・アプローチにおける
「自然」とは 磯部錦司

30 連載 アート in SPACE⑩
中野区立第五中学校 (東京都) 渡邉裕樹

32 連載 こどもなーとの0・1・2歳の素材と遊び④
「光と影」 坂口奈津 松井七海

34 practice 実践ポケット【保育園】
触れて 試して 感じてみよう 魵澤裕子

36 【小学校】
砂・砂・砂で……!? 篠塚真希

38 【特別支援】
院内学級のこどもたち 南雲まき

40 exploration in to the art of infants 連載 幼児造形の森⑳
触覚教具(その4) AI時代の触覚教育 水島尚喜

41 beautiful and pleasant things for children and us
連載 うつくしいこと たのしいこと④
「まねること」 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く
42【 幼児の部】清田哲男 43【 小学生の部】 田中明美

44 Q&A 連載 こどもが育つ造形Q&A
黄瀬重義+鈴木陽子

 

pocket interview
長谷川義史さん

はせがわ よしふみ/ 絵本作家、翻訳家

こどものときの出会いは大きい。
僕にとっての図画工作は、どえらい出会い。
人生が変わりました。

おおらかでユーモラス、それでいてほろっとせつない、長谷川義史さんの絵本。
何度も見たくなるその絵には、小学校の恩師・大西先生の存在があるといいます。
お話をうかがったのは、長谷川さんと長年の交流がある香月欣浩先生。
先生の図工の時間を描いた絵本、『おおにしせんせい』のお話から、
楽しい長谷川ワールドの始まり、始まり!

覚えているのは、
初めて筆で絵を描いたときのこと

香月 長谷川さんの絵本、『おおにしせんせい』は、小学5年生の男の子が主人公。新しく担任となった大西先生に、ぶっとい「16号の筆1本」で絵を描こうと言われて、児童たちがとまどう場面からお話が始まります。この話は長谷川さんの実体験とお聞きしました。長谷川さんは、それまでも絵を描くことが好きなこどもだったのですか?
長谷川 はい、ずっと前からです。小さい頃、家で絵を描くときは鉛筆やペンで描いていたのですが、覚えているのは、幼稚園で初めて筆で絵を描いたときのこと。その当時の絵の具って、粉の絵の具なんですよ。種類も赤、黄、青、緑ぐらい。黒もあったかな。先生が出してくれた粉を水で溶いて、それを筆にとって、紙にバーッと描いたのが、ものすごく衝撃的でおもしろかった。たしか、ブルドーザーみたいなものを描いたと思います。
香月 そんな小さいときのことを覚えているんですね! 小学校ではどうでしたか?
長谷川 1、2年生の頃から絵を描くことは得意でした。そういう子、クラスにいるでしょ?僕が1年生の秋、父親が病気で亡くなったんです。冬になって、沈んでいる僕たち家族を気にかけてくれていた親戚のおっちゃんが、大阪の心斎橋あたりに遊びに連れていってくれました。そのときね、道頓堀の橋の上を歩いていた女性たちのほとんどが、当時流行していたロングブーツを履いていたんです。僕の生まれ育った藤井寺では見たことがない光景でした。それを見た小学1年生の僕は衝撃を受けて。
香月 はい(笑)。
長谷川 藤井寺のこどもが、ニューヨークに行ったような感覚(笑)。図工で「好きなものを描きましょう」と言われたとき、僕はあの道頓堀の橋の上を歩くロングブーツの人たちを描きたくて描きたくてしょうがなくって、描いて——。そうしたらその絵が、ある作品展で一番の賞をもらったんです。河内長野の学校に貼り出されたのを、おかんとねえちゃんと一緒に見に行きました。お父ちゃんが

…続きは本誌で


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