美育文化ポケット 第35号 発刊しました。

第35号 2022 Autumn

目次


1 じっくりと向き合う 藤澤保子

2 pocket meeting in tokyo
私たちはレッジョ・エミリアから何を受け取ったのか
永渕泰一郎さん(畿央大学 准教授)
津田純佳さん(アトリエリスタ/みりおらーれ代表)
今川公平さん(木の実幼稚園 園長)

12 curriculum design
カリキュラム・デザイン㉓
特集 みんなでジョイフル 想いを合わせて
槇 英子+馬場千晶+秋山道広

20 curriculum design
こどもと先生のおどうぐばこ

22 biiku-navi report Special
美育NAVI訪問レポート×アート in SPACE
毎日生まれ変わる 保育環境の作り方
大阪府・木の実幼稚園
ナビゲーター:渡邉裕樹

29 art in life 「お花のおまんじゅう」 鈴木純

30 連載 Nature Arts in LIFE⑦
レッジョ・エミリア・アプローチにおける 「美しさ」とは 磯部錦司

32 連載 こどもなーとの0・1・2歳の素材と遊び③
「自然物」 坂口奈津

34 practice 実践ポケット【幼稚園】
日々の生活や遊びの中で育まれる 「造形表現」 湯山陽子

36 【幼稚園】
「空間」とわくわくする遊び 久川純奈

38 【小学校】
「あそび to まなび」~遊ぶように学び、学ぶようにして遊ぶ~ 永縄啓太

40 exploration in to the art of infants
連載 幼児造形の森⑲
触覚教具(その3)「実体認識袋+ひみつ袋」 水島尚喜

41 beautiful and pleasant things for children and us
連載 うつくしいこと たのしいこと③
「ならべること」 佐藤賢司

42 drawing&painting こどもの絵を聴く

42 【幼児の部】宮野 周 43 【小学生の部】 森實祐里

44 Q&A
連載 こどもが育つ造形Q&A
佐川早季子+林 耕史

 

pocket meeting in tokyo
私たちはレッジョ・エミリアから何を受け取ったのか

 

今年は現地参加90名、オンライン参加170名、

総勢260名もの方々と共に開催した夏のポケットミーティング。今回のテーマは、イタリア発、世界中に影響を与え続けているレッジョ・エミリア教育です。
この20年間、日本の保育・教育もさまざまな刺激を受けてきましたが、実際には何を受け取ってきたのでしょうか。現地を訪ね日本で実践する永渕泰一郎さんと、レッジョの一員であった津田純佳さんの講演、さらに日本型のプロジェクト・アプローチを長年実践されている今川公平さんを交えた鼎てい談だんを中心に掲載します。

 

永渕先生講演 「実践から学び 実践へ」

 

“写真と実物”の関係に次々と問いを立てていく「ラウラちゃんの時計」の話

 2005年、私がレッジョ・エミリア市に赴いたのは、当時レッジョ・エミリアのペダゴジスタであり、レッジョ・チ
ルドレン財団の代表を務められていたカルラ・リナルディ先生からレクチャーを受けるためでした。
 そのときに印象深かったのが「ラウラちゃんの時計」の話です。
 ラウラちゃんは10か月の女の子。ラウラちゃんが先生に時計のカタログを指さすと、先生は「ラウラちゃん、それが好きなの?」と聞きます。ラウラちゃんは「うん!」という表情になります。
 すると先生は「これよ」と、自分の腕時計を見せるんですね。ラウラちゃんは「え? これ?」という感じで、先生の腕時計に手を伸ばして触ってきます。
 すると先生は「ラウラちゃん、よく気づいたね、そうなのよ」と言います。そしてさらに、ラウラちゃんの耳に腕時計を当ててやり、「ほら、時計って音がしてるのよ」というのです。このとき、(チクタクという)時計の音に気づいたラウラちゃんが、ぱっと目を見開いて、とっても驚いた表情をするんですね。
 リナルディ先生は、ラウラちゃんが目を見開いたシーンの写真を見せ、「Look! これがすべてなの」と、私たちに語りかけました。
「 先生の時計とカタログの中の時計はおんなじ」と理解したラウラちゃん。そして、「時計って音がする」と驚き、ラウラちゃんは仮説を立てます。

…続きは本誌で


●書籍のご購入・お申し込み