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第2号 2014 Summer

『ポケットで育つ』
槇 英子(淑徳大学)

「美育文化ポケット」が春爛漫の心地よい風のなかで産声をあげてから、季節は廻り、真夏の陽光のまぶしさのもと、第2号発刊の日を迎えました。幼年期の造形教育について共に考え、現場での実践や研究を勇気づける冊子にしたいという思いは届いているでしょうか。そして、これまでの実践をほんの少し変えてみよう、新たな試みをしてみようという小さな一歩につながったでしょうか。

ところで、ポケットというと、セキセイインコの幼鳥をエプロンのポケットで育てたことを思い出します。寒くないようにとあたためていたはずが、小さな命のぬくもりに、こちらの心があたためられました。時折外に出たがっていたずらもしましたが、安心できるポケットで眠るのが大好きでした。羽が生えそろった今は、体温の交歓をなつかしむばかりですが、人間を信頼しきった様子を見ると、幼年期をいかに過ごしたかは、その生命体の根幹にかかわることだとあらためて感じます。

幼年期をいかに過ごすのかを問うとき、造形表現がもたらす幸福なひとときを多くのこどもたちに感じてもらいたいと願わずにはいられません。自分が世界と溶け合うような没頭と自分の輪郭を実感する瞬間、思い通りにしたい気持ちと思い通りにならない事態との葛藤から生まれるコントロールの力、新しい情景が立ち上がる喜びとそれを共有する楽しさ…もしかしたら造形表現という安心できるポケットのなかでの出来事に過ぎないかもしれませんが、そんな幼年期がもたらすものは、生きることへの信頼なのではないかと思います。

そして、こどもは本来、自分で命を輝かせる力を持っています。大人が造形表現を持ち込むときには、ほんとうに必要なのか、どんな意味があるのか、こんな方法でよいのか、立ち止まることが大切でしょう。この「ポケット」を共有することが、大人がそれを振り返り、こどもたちがこどもの自分でいられる時間を守ることにつながることを願っています。

創刊記念座談会  「アートで育つ、こどもが育つ」ためのポケットその2
秋田 喜代美 × 大橋 功 × 槇英子

槇 作品を並べるだけの造形展ではなく、こどもの姿を見てもらう造形展ですね。たとえばお店屋さんごっこをしていて、何かをつくっている途中でもいいし、思いのままに表現している姿でもいいし、そこでこどもたちが何をしているか、それを見てくださいという造形展をやっているんです。

大橋 親を育てるという視点からもこどもの姿を見せるのは大切ですね。「我が子がこんなに目を輝かせているのを見たことないわ」と親は感動しますし、こんな時間を幼稚園や学校で過ごしているんだということを伝えたいですね。

秋田 私がかかわっている小学校の研修会で、「今みなさん“できる” “わかる”だけを考えているでしょう。だけど、美しいと思うとか、良さを感じるっていうことも小学校以上の教育では絶対に必要だし、生涯を豊かに幸せに暮らすのは、生活を豊かにするということは、人よりできるとか、何かの知識をもっているということだけで頭をいっぱいにすることではないですよね。」というような話をします。

…続きは本誌で

目次

ポケットで育つ
槇英子 1

創刊記念座談会 2
「アートで育つ、こどもが育つ」
ためのポケットその2
秋田喜代美 × 大橋功 × 槇英子

美育NAVI訪問レポート② 6
木の実幼稚園 大阪府松原市
ナビゲーター:大橋功

保育のなかの造形カリキュラム 12
7・8・9月の造形カリキュラム
槇英子+馬場千晶

実践ポケット【幼児】 18
園庭にアリの町現れる
鈴木秀弘

実践ポケット【幼児】 20
光れ! 広がれ! パステルで空を描く
松浦圭子

実践ポケット【低学年】 22
フロッタージュ刑事
西村徳行

実践ポケット【低学年】 24
魔法で出会う!「じぶんの手、みんなの手」
笠雷太

実践ポケット【特別支援】 26
障害のある子ども達の造形活動
藤田錦一

こどもの絵を聴く【幼児の部】 28
羽渓了

こどもの絵を聴く【小学生の部】 29
木村早苗

連載 ポケットキーワード 30
第2回「手の働き」
水島尚喜

連載 こどもが育つ造形Q&A 31
Q:素材・道具などの整理方法や工夫について、新しい素材について教えてください。
花原幹夫

連載 材料・用具のはなし 32
第2回 美術出版サービスセンター
森泉彩子




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