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2004 3月号

特集 第34回世界児童画展

  1970年に大阪で開かれた万国博覧会を機にスタートした世界児童画展は、今回で34回を迎えました。

  この展覧会は、子どもたちの感性と理性の調和のとれた 成長を願い、子どもたちがみずからつくりだす造形文化の支援と、国境を越えて世界の人々をつなぐ 国際相互理解を目的として開催されてきました。

今日の国際政治の舞台ではグローバリズムの是非を問う議論が基調にあります。グローバリズムとは、本来は国家や民族や宗教、イデオロギーなどの壁を取り払い、世界の統一と平和を目指し、民族の融和と国際理解を広めるという崇高な理想をもっていると思われます。けれども、一方では、それはすでに完成されている一部の国のシステムを押し付けるものだとする危惧や反発が根強くあり、このためかえって交際関係の緊張や対立を生んでいるという構図があります。

 グローバリズムを主張する国の内部でも、情報化社会の発展に即応した新しい社会システムは完成されてはおらず、20世紀に思い描いた希望の未来としての21世紀は、いまだに渾沌とした不安の中にある気がします。そればかりか、実際には世界の各地で紛争と混乱が絶えず、経済や教育の格差は拡がっているようにも思えます。 そして、その影響を受けて、困難な生活状況に瀕している子どもたちが多くいます。ここには、社会的な矛盾の影響を最も被るのは、弱者としての子どもであるという、変わらぬ構造があります。一方、先進国と言われる国々においても、教育の問題は、もっとも緊要な課題となっています。ここでは、高度化した情報化社会によって、子どもから直接経験の機会が極端に失われつつあることが危惧されています。

  ところで、世界児童画展では、大人の強制や干渉によらない、 子どもたち一人ひとりの自由で生き生きと表現された “ふだん着の絵”を大切にすることを一貫して提唱してきました。 それは、子どもたちの自由で飾らない表現の中にこそ、 子どもたちの生き生きとした姿を感じることができ、 それが子どもたちにとって未来につながる生きる証になると考えるからです。

  私たちは世界児童画展を通じて、 21世紀をになう子どもたちが作品に込められた世界のさまざまな文化、風土に触れ、自然のうちに国際親善や国際理解の芽を育むことを願っています。


表紙作品:
第34回世界児童画展
海外の部・外務大臣賞受賞作品
「ガーデニング」 ブダイ・キウガ
ハンガリー 9歳女

表紙

裏表紙作品:
第34回世界児童画展
国内の部・内閣総理大臣賞受賞作品
「うすく光り輝く私」 濱田 萌笑 
東京・江戸川区立篠崎小学校 4年

裏表紙

 

目次

特集:第34回世界児童画展

内閣総理大臣賞受賞作品…3

文部科学大臣奨励賞受賞作品…4

外務大臣賞受賞作品…7

国内の部優秀作品…15

海外の部優秀作品…27

国内の部応募状況…35

審査員一覧…36

国内の部特別賞受賞者名簿…38

国内展開催一覧・海外展開催一覧…41

国内の部審査講評…42

海外の部審査講評…46

海外の部応募状況…50

児童画の名著25冊

赤木里香子+石崎和宏+岩崎清 +佐々木達行+島田佳枝+塚田美紀 +辻政博+辻泰秀+直江俊雄 +芳賀正之+平本佐智子+三浦浩喜 +山木朝彦+山口喜雄+幸秀樹 +吉村壮明 (順不同)…51

Eメールトーク 第11回 
造形遊びのポジティブな評価で 図工・美術に元気を!
達富洋二+中田稔+野切卓 +栗田真司…64

新刊紹介 『創作玩具』 竹内 博…70

美育ニュース…71




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