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2004 1月号

特集 新しい評価と子ども

 学習指導要領の全面実施から1年余を経た今次の教育界の最大の関心は、全面的な見直しが計られた指導要録、すなわち評価をどのように捉え、実践していくかであると思われます。わけても、指導要録の改訂により、従来の「集団に準拠した評価」、いわゆる相対評価から「目標に準拠した評価」、つまり絶対評価に「評定」が変わったことは、ある種の戸惑いも含めて、大きな反響を呼んでいます。

 我が国の戦後教育は、そのスタートにおいては、教師の主観性を排し学習の評価を客観的に行うという目的から相対評価に依っていました。しかし、その後、評定の機械的な割当てを緩和した「絶対評価を加味した相対評価」となり、さらに、昭和55年の指導要録の改訂により、観点別学習状況の評価に関しては絶対評価で行うことが示されました。つまり、従来も評価そのものは、必ずしも相対評価中心ではなかったわけで、今回の改訂もこのような、相対評価から絶対評価へという大きな流れの一環と見ることもできます。


一方、今回の指導要録の改訂では、新学習指導要領で目指す基礎的・基本的な内容を身に付け、自ら学び、自ら考える力などの生きる力を育成するといった目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすことや、上級の学校段階の教育との円滑な接続に役立てることなどが求められており、さらに、個に応じた指導を重視するところから一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを適切に評価するため個人内評価が重視されています。けれども、相対評価にも絶対評価にも、それぞれの特長があることから、何のための評価か、その結果を何に用いようとするかをより厳密に考える必要があると思われます。

  いずれにせよ評価は、子どもの学習に役立つことを目標として行われるべきものと思われます。子どもや教育をどう捉え、いかにして子どもの資質や能力すなわち広い意味での「学力」を育てていくべきかということこそが評価の理念であり、本来の目的であると思われます。

そこでこの号ではそれらの問題について、座談会と実践例を通じて考えてみたいと思います。


表紙作品:
第33回世界児童画展
海外の部・特別金賞受賞作品
「おんがくだいすき」 ツベテリーナ・ペトコワ
ブルガリア 5歳女

表紙

裏表紙作品:
第33回世界児童画展
国内の部・全国造形教育連盟賞受賞作品
「海の見える別荘」 藤田 朋
東京・杉並区立久我山小学校6年

裏表紙

 

目次

特集:新しい評価と子ども

美育インタビュー アニメーション作家  山村浩二 さん…7

座 談 会 何のための評価か
指導要録の改訂と新しい評価の展望
板良敷 敏+村上 尚徳+ 大泉 義一 +長澤 博昭…13

ならべてならべて…日高 和広…24

ならべて えがいて…山崎 博之…26

どんどん彫刻美術館…森實 祐里…28

ここになんだろう…名達 英詔…30

楽器の中をのぞいてみたら!…峠 しげみ…32

鳥と友だち…南 伸裕…34

光の中で…中山八重子…36

ポートフォリオを活用した評価の工夫…武田 圭介…38

私のモナリザ…菅沼 晶子…40

風景画「○×中散歩…絵手紙」とポートフォリオ形式の評価…佐々木正裕…42

ぴょこぴょこ動くよ、昇るよ、「昇り人形」…酒匂 士郎…44

似たものアートはどれ?…山崎 智子…46

15歳の自分をみつめて…阿部 昌子…48

「横浜めぐり」をポスターにしよう…山口 拓也…50

鑑賞を通して「評価」を考える…岩永 輝也…52

授業研究 滋賀県

幼児   なんだろう、見てみよう、やってみよう…木本 明美…54

小学校低学年  一人ひとりの造形の世界を広げよう…大澤 厚美…56

小学校中学年  とびっきりきれいな花火でお月さまをおこそう!…角 玲子…58

小学校高学年  私の不思議なフォース(ホース)…松山 辰也…60

中学校   作ろう!私たちのクラスキャラクター…堀田 美保…62

連載 Computer Now File 0019
それは すばらしい なつの あるひ…市原 基一…64

Eメールトーク 第10回 
「身をもって教える図工・美術」って、どんなこと?
達富洋二+栗田真司+ 野切 卓+中田 稔…70

連載 高校フォーラム 第20回
美術教育とコンピュータ…西村 直昭…72

美育ニュース…73




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