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2001 12月号

特集 造形でMake Happy !

 今日、人々の身の回りを楽しく飾る、生活デザインや暮らしのための造形は、私たちが心豊かで快適な暮らしをおくるうえで欠くことのできないものとなっています。

 店頭やカタログには、洗練された家具や生活用品が溢れており、メディアを通じて絶えず、新しい商品やデザインが紹介されています。そしてこの傾向は消費財に留まらず、都市空間やライフスタイルの設計にも及んでいます。これは、センスのよいものや個人の趣向にあった環境に暮らすことが、人の心にゆとりと楽しさを与え、ストレスを解消し、安定や幸福感をもたらすものであることが理解され、それこそが人生のひとつの目的であるとさえ言えることに、多くの人たちの共感するようになってきたためでしょう。

そのような社会にあっては、氾濫する情報の中から、自分の好みに合った品物や環境を選択して暮らしの中に取り入れる能力は、極めて重要なものとなってきます。そして、さらにそれを進めて、自らの好みに合ったものをつくりだす楽しみは、私たちの生活をいっそう豊かなものしてくれます。

また、このような事情を反映して、誰もが手軽に楽しめるものづくりは、ある意味で現代生活のトレンドとして拡大しており、DIYブームや、ラッピング、フラワーアレンジメント、アクセサリーづくりなどのカルチャーセンターに見られるような造形活動として定着しています。

 もちろん、これらの表現の中には、単にものづくりの手順を踏んでいるに過ぎないものや、表現としては様式化しているものもあり、それが造形・美術教育の本来の目的とも言える創造性とは目指す方向がちがうことを懸念する見方もあります。

 けれども、従来の図工・美術の内容が、絵画や彫刻といったいわゆる Fine Art を念頭に構成されてきたことは、今日では、いささか時代のニーズに適合していないようにも思われます。ここには、これまで美術の教育が、自ら育んできた「個性」や「創造性」など概念により、かえってその内容を限定している状況があるのかも知れません。

 身の回りを楽しく飾り、好きなものに囲まれて暮らす楽しみは、自分のためだけではない広がりをもつことが考えられます。その意味で、これらの活動を幼稚園や学校教育の環境のなかで積極的に取り上げていくことには、新たな意味があるのではないでしょうか。

 そこで12月号では「生活環境を楽しく演出する造形活動について実践の中から考えます。


 

目次

特集:造形でMake Happy !

美育インタビュー 華道家 假屋崎 省吾さん…7

暮らしを遊ぶ美術の学習…春日 明夫…13

子ども参加の<環境造形>…田代 耕司…20

子どもと楽しくつくる心地よい保育の環境…上村 浩子…26

実りの秋を造形よう…郡司 明子…30

子どもたちの暮らし空間“学校”をArtする!!…福田満佐子…34

暮らしメークアップ!…湯浅 大吾…38

生活環境とデザイン…樋口 雄三…42

ふつうの毎日を素敵にかえる…南 弥緒…46

連載 Computer Now File 0008
造形能力とコンピュータ その意味と実践
…久松 丈記…50

連載 幼児のひろば 第10回
自然は子どもの宝物…鈴木 明子…52

連載 高校フォーラム 第9回
33年間の高校美術教育の実践の中で…日下部正和…53

時 評 忙しすぎる子どもたち…54

2001美育文化総目次…55

美育ニュース…58




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